アルマーニの標準服に関する制服屋の見解

こんにちは。制服通販リサ アンド ザ スターライトの店長です。

泰明小学校という学校の標準服を巡ってメディアの報道が相次いでいますが、この件について、制服屋としての意見を述べたいと思います。

この小学校のアルマーニ標準服の価格表を見ました。私は、高いとは思いませんでした。むしろ、良心的な価格設定だと思いました。この問題について、「価格」に関する問題と、「公立の」「小学校の」標準服を「校長が独断で決めた」という問題を混同する報道もあり、心外に感じます。

まず、価格についてです。

アルマーニの標準服だという報道が先行しており、アルマーニさんが小学校の制服を作っているかのように勘違いしていらっしゃる方もいるかもしれません。まずそこの誤解を解きます。

学校指定制服にも、様々なブランドの制服がありますよね。Olive des Olive、ベネトン、ヒロココシノ、ヒロミチナカノ、earth music&ecology、ELLE、MICHEL KLEIN、BEVERLY HILLS POLO CLUB・・・・

これらのブランドの制服は、これらのアパレルメーカーが作っている訳ではありません。制服メーカーがブランドをライセンスしてもらって、制服メーカーが作っています。

なぜかといいますと、一般のアパレルメーカーは制服を作るノウハウを持っていないからです。

制服というのは、独特の難しさがあります。まずサイズ展開。小学校ですと、120サイズ以下のサイズから170以上のサイズまで、A体B体それぞれ作る必要があります。普通のアパレル製品ではあり得ません。普通のアパレル製品は、S、M、L、LLくらいでしょう。ですが、制服だと「そのサイズはありません」では済まないんです。どんな体型の生徒さんにも合わせる必要があります。しかし、オーダーメイドのような高価なものは適用できません。すべて既製品で対応する必要があります。なので、全サイズに対応する型をもたなければなりません。こんなに幅広いサイズにグレーディングできる型を持つアパレルメーカーなんかありません。制服メーカーならではのノウハウが必要になります。

次に納期。もちろん入学前には十分な在庫を持ちますが、それでも特例なサイズの受注や不足サイズなどは必ず発生します。そのときに「在庫がありません」では済みません。何があっても入学式までに間に合わせる必要があるのです。

そして品質。制服は毎日着るもの。そして人生の中でも最も活動的な時期に着る学生服は、高い耐久性や品質の高さ、縫製の正確さが求められます。日本の学生服の品質は世界でも最高品質だと言われています。生地も最高品質のものが使われており、世界のトップブランドのアパレル製品よりも高い品質だそうで、そんな高品質な製品がこの価格で出せるというのは常識的にあり得ない、といわれています。

こういった制服の特性から、学校指定制服は制服メーカーしか作ることができないのです。たまに安い自由通学服もありますが、それは上記のような特質を備えていないもので、極めて品質の悪いものであることもあります。素材表示タグを見ればその商品のクオリティがわかります。スカートですと、ウールが含まれておらずレーヨンだったり、日本語ではなく中国語で書かれていたり・・・

話がそれましたが、高い品質で作られた指定制服は、価格が高すぎるという指摘は間違っています。この品質でこの価格は常識的には考えられないほど安いのです。制服がない場合、その分、私服にコストがかかりますし、私服の着こなしで格差も生まれてしまい、いじめなどの温床にもなり得ます。結果トータルでは、制服は極めて安いソリューションであることを知ってほしいのです。

そもそもがこういった高品質なものですので、価格もそれなりにかかってしまいます。ブランド制服の場合、それにブランドライセンス代金がかかります。

このアルマーニ標準服の価格表を見る限り、ブランドライセンス料は15%~20%前後だと推測しています。ライセンス料としては少し高いようにも思いますが、アルマーニの価値を考えると、極めて良心的だと思います。そして、制服メーカーが作る限りは、アルマーニのブランドに恥じない品質が担保されます。

ではなぜ、このようなブランドを付けるのかと言うことですが、これはスクールアイデンティティー確立のためで、学校の付加価値を付けるため。簡単に言うと、保護者の方の気を引くためです。おしゃれな制服を導入してます、かわいいでしょー! ほらこの学校に入りたくなったね! そんな具合です。生徒さんの世代に訴えるブランドよりも、保護者世代に訴えるブランドが多いのはそのためです。

なので、この件に関しては、これが「公立の」「小学校の」標準服を「校長が独断で決めた」という部分が問題なのであって、「制服にブランドを付けること」「価格が高いこと」とは全く無関係であることを主張しておきたいと、私は思うのです。

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